12月11日は(イニイイ)胃に良い日です。
胃の不調は国民病と言えるくらい、多くの人が不調を訴えています。
胃の不調の症状は、「胸焼け」、「胃痛」、「膨満感」、「胃もたれ」、「吐き気」などが代表的です。
ゲンキスチューデントの春香クリスティーンさんも、最近胃腸炎になったそうです。
肝臓の別名は「沈黙の臓器」ですが、胃の別名は・・・
「おしゃべりな臓器」。
不調を訴える事が多いからです。
今回は、胃の不調をいつもの事と放っておくと、実は大変なことになるかもしれないので、きちんとした対策をしましょう。
というお話です。
目次
胃の不調の原因は大きく2つ
胃酸、胃の動き。多くの胃の不調の悩みはありますが、中村麻布十番クリニックの中村先生によると、原因は大きく分けて「胃酸」と「胃の動き」の2つです。
症状の悩み
今回番組で紹介されたのは、
- 胸焼け
- 胃痛
- 膨満感
- 胃もたれ
です。
胸焼けの原因は胃酸の逆流
胸焼けに悩むのは後藤さん(55歳男性)。40歳の頃から15年も胸焼けに悩んでいます。油っこいものを食べると辛い思いをして、胸のあたりが熱くなるのを感じます。
胃カメラで胃の状況をみると、胃の入り口あたりに黒い点やギザギザが見えます。この黒い点は胃酸によって付けられた傷跡です。診断は、逆流性食道炎でした。胃酸の逆流によって、起きる病気です。
胃の入り口あたりに見えた黒い点は、毛細血管が出血して出来たヘマチン。
ヘマチンは、胃酸と血液が反応して出来る物質で黒に近いコーヒー色をしています。
胃酸は、pH1-1.5くらいの強酸性で、消化を行う分泌液です。pH1-1.5というと、0.3%塩酸とおよそ同じくらいの酸性です。
胃の粘液は胃粘膜や胃壁を守っています。食道も粘液が出ていますが、胃の粘液に比べて胃酸に弱いため、食後に胃酸が逆流してくると、食道が傷ついてしまいます。
胃酸が逆流してしまうのは?
通常、食後は、食道と胃のつながり部分にある下部食道括約筋がキュッと閉じて、胃酸の逆流を防ぎます。
しかし、脂肪の多い油物を食べると、十二指腸からコレシストキニンが分泌されます。
このコレシストキニンが下部食堂括約筋を緩める作用があり、胃酸が食道へ逆流しやすくなります。
前屈みの姿勢も胸焼けの原因
パソコン作業が中心の後藤さん。猫背、中年太りが胃酸を逆流させて胸焼けの原因にもなっています。
前屈みの姿勢と中年太りは、腹圧がかかり、胃を圧迫して胃酸が逆流しやすいです。
前屈みの姿勢をやめて、背筋を伸ばすと腹圧が減り、胃酸の逆流が防げそうです。
胃痛の原因はお酒の飲み過ぎ
福原さん(男性)は、胃痛に悩んでいます。痛むのは胃の下で、空腹時に刺すような痛みがあります。
胃カメラで胃の中をみると、胃酸で胃の粘膜がやられていて、イボのようなものが多数できていました。この原因は胃酸です。びらん性胃炎で、ひだの頭頂部に出来るのが特徴です。
なんと、福原さんは、ウーロンハイ1時間に4-5杯を飲むのを5時間も続けるほどの酒豪でした。
胃酸は食べ物を消化するために出ますが、お酒は胃酸の分泌を促します。
また、お酒(アルコール)は胃粘膜を直接傷つけます。胃酸がお酒で出来た傷口に作用して胃痛の原因になります。
胃酸から胃を守る方法
1.ムチン
胃酸から胃壁を守るのは、胃粘液です。その胃粘液の主な成分はムチンです。
山芋、里芋、レンコンは、漢方で胃腸にやさしいとされています。これは、ネバネバ・ヌルヌル成分が胃粘膜を保護することと、消化酵素が胃の消化を助けることと、考えられています。
山芋、里芋、レンコンなどにも含まれるネバネバ・ヌルヌルした成分の1つもムチンですが、胃粘液に含まれるムチンと全く同じものではありません。全く同じではないのですが、同じような構造(糖タンパク質=タンパク質に(多糖)の糖鎖がついたもの)をもち、ネバネバ・ヌルヌルした特徴を持つ成分です。
植物のネバネバ・ヌルヌル成分は、他にも、多糖類のペクチン、フコイダンなどが含まれることもあります。
*2017年11月26日追記:ムチンに関するご指摘を受け、表現を変えました。詳しくは下部のコメント欄をご覧ください。
2.ビタミンU
ビタミンUは傷ついた胃粘膜の修復を促進する可能性があります。ビタミンUは、キャベツやブロッコリーに多く含まれています。
ビタミンUは水に溶けやすいので、キャベツやブロッコリーは蒸すのが、ビタミンUが溶け出さなくて良いです。
ビタミンUは、キャベツ汁から発見されたため、キャベジンという別名もあります。
引用
キャベジンの健康効果
◎胃の健康を保つ効果
◎胃潰瘍や十二指腸潰傷を予防する効果
◎アレルギー症状を緩和する効果 わかさの秘密
胃もたれの原因はストレスによる胃の動きの低下
浅川さん(男性)は2年前に定年してから胃の調子が悪いです。
仕事が好きだったため、退職して張り合いがなくなり、退屈でストレスを感じています。
ストレスは交感神経を優位にして、胃の機能が低下します。
トンカツが好きでしたが、今はトンカツを食べにいってもキャベツを食べただけでお腹いっぱい。食事量が激減しました。
不調を感じているのは、みぞおち部分。食事ですぐに膨らんでくると言います。胃カメラでみると、特に問題はありません。
胃の動きが原因。胃の動きが悪くなっています。
食事をすると、胃は「拡張」、「胃酸を分泌」「ぜん動運動」という動きをします。
胃の機能が低下すると、食物を貯蔵するための「拡張」や消化に必要な「ぜん動運動」などが鈍くなります。
膨満感もストレスによる胃の動きの低下が原因
膨満感を訴える女性は、3年前に離婚して当初は開放感があったら、次第に将来に対する不安の方が強くなりストレスを感じるようになりました。
膨満感に加えて、胃の動きが低下、痛みも感じるようになりました。
はっきりとした、胃炎の症状がないですが、このまま進行すると、「機能性ディスペプシア」という病気になると、言われました。
機能性ディスペプシアは、後ほど説明します。その前に、胃もたれ、膨満感を助ける対策をご紹介します。
胃もたれや膨満感の対策は唾液を出すこと
唾液の分泌を促すのが大事です。唾液が消化を助けるほか、胃酸を中和する効果があります。唾液は胃の粘膜の傷を修復します。
唾液を出すにはよく噛む事
よく噛む事で、唾液が分泌されます。
唾液を増やす方法
おサルさん体操
口を閉じて舌を猿の真似をするように、歯と唇の間に入れて4−5回まわす。唾液腺が刺激され、唾液がでます。
唾液腺マッサージ
唾液腺を体表面から刺激を与える事で唾液分泌が促されます。指1−2本でゆっくりと。耳の下のくぼみを撫でるように押します。
機能性ディスペプシア
ストレスが原因の胃の不調が現代人に増えていて、2013年に診断名として正式に認められた病気です。
ディスペプシアは「消化不全」という意味で、機能性ディスペプシアは日本人の5−6人に1人が罹患の可能性があります。
ストレスが原因になる事が多いです。
また、機能性ディスペプシアは誰でもなるリスクがあります。日常生活に原因がある事が多いからです。
機能性ディスペプシアの診断基準
- みぞおちの痛み・灼熱感
- 食後の辛い胃もたれ
- すぐお腹が一杯
- 胃に病気の原因が見当たらない
機能性ディスペプシアの体験談
「機能性ディスペプシア」と後に診断された30代女性の壮絶な体験が紹介されました。
ウイルス性胃腸炎にかかり、薬で回復したが、胃に違和感が残ったそうです。徐々に蝕まれ、灼熱感、胃もたれ、圧迫感などを感じました。
病院にいっても、「気のせい」と言われ、苦しんだそうです。6ヶ月後に症状が悪化し、「胃痛」、「むかつき」、「圧迫感」、「胃もたれ」が同時に起こり、本当に辛かったそうです。
「だれもわかってくれない」のが一番辛そうでした。
今年の1月に症状が出て、体重が激減、7キロやせました。病名がわかったのは7ヶ月後で、今は前向きに治療しています。
正常な胃では、食後、胃が上部拡張、食事を貯蔵、ぜん動運動となりますが、機能性ディスペプシアだと、食べ物がすぐに胃の底へ行ってしまいます。内蔵性知覚過敏にもなっていることが多いです。
機能性ディスペプシアは、まさに、ストレスがストレスを生むという状態で、すべてが悪循環になっていく、と中村先生は言います。
異変を感じたら、消化器の専門医に相談を。
機能性ディスペプシアはストレスが原因の事が多いので、話すだけでも症状が改善することがあります。
膨満感を感じていた上田さんは、ロケで原因が分かって、その後すっきりしたそうです!