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乳がんが肺や骨への転移したとき(ステージ4)の余命、完治の可能性は?

乳がんで闘病中の小林麻央さんが、当初はリンパ節だけだったがんの転移が、現在では肺や骨などの転移があることをブログで公表されました。

闘病生活は2年近く、がんの転移がひろがっているのは、とても気がかりです。今回の記事は、乳がんが肺や骨へ転移した時(ステージ4)の一般的な余命、症状、治療などについて、ご紹介します。

 

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乳がんの肺や骨への転移は、ステージ4と呼ばれる

乳がんが肺や骨へ転移したということは、遠く離れた臓器(遠隔臓器)への転移であり、乳がんが全身にひろがっていることを意味し、ステージ4と呼ばれます。

血流やリンパを通して、全身にひろがっているため、完治は難しいとされます。

がんは、日本人の死因の1位(2014年、厚生労働省)となっている病気です。女性が罹るがんの種類で、乳がんは1位であり、女性がん患者の5人に1人が乳がんとなっています(国立がん研究センター,2015年)。

乳がんにかかる日本人は、年々増えており、2016年の推測では、約9万人と2000年の3万7千人、2012年の約7万人から大幅に増えています。

乳がんが肺や骨へ転移したとき(ステージ4)の余命は?

がんの統計’15(国立がん研究センターがん情報サービス『がん登録・統計』)によると、2004年−2007年診断例の乳がん患者5年生存率は、

  • ステージ1 99.9%
  • ステージ2 95.2%
  • ステージ3 79.7%
  • ステージ4 32.6%

となっています。

おなじく、1998年ー2002年診断例では、

  • ステージ1 98.9%
  • ステージ2 93.3%
  • ステージ3 71.3%
  • ステージ4 31.4%

となっています。

ステージが進むごとに生存率が低下し、ステージ4では急減します。これが、がんは早期発見が大事だと言われる理由ですね。

ただ、ここで注目して頂きたいのは、およそ15年前の診断と10年前の診断では、ステージ4の5年生存率が1.2p改善していることです

医療技術は日進月歩と言われます。2003年にヒトゲノム(人の遺伝子情報)が解明されて以降、さらに医療の進歩は加速しているはずですから、現在の診断では生存率はもっと良くなっているはずですし、そうなっていることを期待したいです。

乳がん早期発見のためのセルフチェックや乳がん検診の方法を知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

乳がんが肺や骨へ転移したとき(ステージ4)の症状は?

乳がんは、転移があっても症状がない事も多いようですが、肺、骨、肝臓、脳などに転移した場合の症状を見ていきます。

肺への転移

乳がんの肺への転移では、症状が出にくいそうですが、もちろん安心はできません。

少ない中でも、1週間ほど長引く咳、ぜいぜいとした息、胸の痛み、呼吸困難、しゃがれ声、血の巡りが悪くなることによる首や顔が腫れ、などがあります。

骨への転移

乳がんの骨への転移は、体幹部分の骨に転移しやすく、背骨、骨盤周り、両肩・両股関節周囲に、痛みがでることが多いようです。体重を支える骨ですので、骨が大きく壊されてしまうと、立つことはもちろん、座ることも困難になってしまうケースもあるようです。

骨への転移では、溶骨型と造骨型、この2つが混ざった混合型という3つタイプがあります。

溶骨型は、骨を溶かしてしまう転移で、骨折や麻痺のリスクが高まります。

造骨型は、転移したがんが骨を壊しているのですが、なぜか骨が硬くなってしまうタイプで、骨折や麻痺のリスクは、溶骨型に比べ低いそうです。

乳がんでは、溶骨型と造骨型のどちらになりやすいかは、個人のタイプによって分かれるようです。

 

乳がんが肺や骨へ転移したとき(ステージ4)の治療は?

肺転移の治療

がんの数、場所(肺の根元か末梢か)、胸水がたまっているか、患者の体力があるか、などによって治療法が変わってきます。乳がんの再発がなく、体力があり、転移して来たがんが切除可能なら外科手術による治療が考慮されます。

一般的な転移性肺がんの治療法は、外科手術、抗がん剤治療(化学療法)、放射線療法、光線力学療法(PDT)などがあります。

ただし、乳がんの場合は全身に広がっていると考えられるため、外科手術ではなく、抗がん剤やホルモン療法が選択されます。

骨転移の治療

骨転移は完治が難しいそうですが、直接命を脅かさないということで、痛みや日常生活への支障を取り除く事が重要となってきそうです。

また、治療法としては、放射線治療、ホルモン治療、抗がん剤治療などを行いながら、がんとともに歩む生活となるそうです。

骨転移が生じると、もはや初期のがんとは言えず、分類上は進行期になります。

もはや完治することは難しく、病気の進行を抑えてがんとともに歩む毎日であることを意味します。

そのことを思えば、辛く重苦しい毎日になってしまいますが、骨転移には直接命を脅かさないという特徴があります。がんナビ

骨転移が判明したら、主治医から乳がんに対するホルモン治療や抗がん剤治療が提案されると思います。

その治療と並行し、ゾレドロン酸やデノスマブなど骨転移治療薬の投与もなるべく受けてください。がんナビ

 

乳がんは肝臓や脳へも転移しやすい

乳がんのステージ4では、肺と骨以外に、肝臓、脳への転移の頻度が高いです。

肝臓と脳への転移についてはどういう症状と治療がおこなわれるのでしょうか。

乳がんの肝転移の症状

肝臓は沈黙の臓器とも呼ばれ、初期症状は出にくいです。症状がでる頃には、肝臓の半分以上ががんにやられている時と言えます。

がんが進行してくると、

  • 腹水(お腹に水がたまる)
  • 黄疸(皮膚が黄色くなる)
  • 腹部の圧迫感(がんが大きくなって、肋骨を押し上げる)

などの症状が出てきます。

乳がんの肝転移の治療

乳がんの肝臓への転移では、肝臓だけの局所治療でなく、全身治療が選択されます。

全身治療では、通常は抗がん剤やホルモン療法が行われます。

現時点では、併用しても生存率はかわらないため、抗がん剤とホルモン療法が同時に行われる事はないそうです。

乳がんの脳転移の症状

ステージ4乳がん患者の脳転移の頻度は10-16%です。

脳転移の頻度が高いのはHER2陽性およびトリプルネガティブの転移乳癌患者で、それぞれ30−44%,25−46%となっています(情報元:日本乳癌学会 乳癌治療ガイドライン)。

症状は、出ない事も多いですが、頭痛、吐き気、体の麻痺などが起こります。

乳がんの脳転移の治療

転移の状況にも依りますが、脳の部分的または全体に体する放射線治療に行われる事が生存期間をのばすことにつながるようです。

乳癌脳転移患者の予後は,脳以外への転移に対する薬物療法の効果が高まったことから,全脳照射例で生存期間中央値が6カ月から14.4カ月へと長くなりつつある。日本乳癌学会 乳癌治療ガイドライン

脳へつながる血管には血液脳関門というバリア機能があって、抗がん剤が通れないため、抗がん剤治療は行われません。

ただし、近年はそのバリア機能をすり抜けて、脳転移したがんにも効果が出る薬剤の開発も行われているようです。

本来の免疫力を生かしたがん治療

抗がん剤や放射線治療のほかに、人間が元々持っている免疫力をいかしたがん治療=がん免疫療法が最近注目されています。

私たち人間は、毎日およそ5000個のがん細胞が体の中で出来ていると言われています。

それでもすぐにがんにならないのは、元々備わっている免疫力(かぜやウィルスなど自分の体以外の異物を排除する力)が働いて、がん細胞を消してくれているからです。

最近では、免疫力を高めるだけでなく、免疫の機能を利用した治療法が積極的に開発されており、これらの治療法にも期待したいですね。

がんの早期発見の前に、がんを予防するための生命力アップ方法を知りたい方はこちらの記事がおすすめです。

まとめ

乳がんの肺や骨への転移は、ステージ4で、がんとしてかなり進行した状態にありますが、医療の進歩により、生存率は高まってきています。

抗がん剤やホルモン療法による治療は、副作用が強くとても辛いものだと思いますが、注目のがん免疫療法や免疫力そのものを高めるなど、がん治療のあらゆる方法を用いることで、きっと良くなると信じています。小林麻央さんには、本当に少しでも早く良くなってほしいです。

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