【夏のお弁当】食中毒対策 傷みにくいおかず/対策グッズ
だんだん暑くなってきて、お弁当が傷んだり、腐ったりしないか、と気をもんでいませんか?
冬はノロウィルス、夏はいろいろな細菌による食中毒が多くなる時期です。
最近は、健康や節約や時短のために、自分のお弁当を作る人も増えていますし、「そろそろ幼稚園のお弁当がはじまる」ママや、毎日夫の弁当を作っている奥様も、夏が近づくとお弁当に気を使いますよね。
今回は、夏のお弁当で気をつけたい食中毒対策と傷みやすいおかず(NGおかず)、お弁当を長持ちさせる傷みにくいおかず(腐りにくいおかず、OKおかず)、お弁当を守る保冷グッズ、意外と気づかなかった〇〇の食中毒リスクについて、ご紹介します。
目次
お弁当を作る前ー手洗い&除菌
お弁当箱を洗って乾かす
お弁当箱に細菌が付いていたら、その後にどんなに注意してもその努力は水の泡になってしまいます。お弁当箱はフタのゴムパッキンのところまで分解洗浄して、しっかり乾かしましょう。
細菌は水分が大好きなので、フタの溝の部分など、水分が残りやすいところは要注意!急いでいるときは、キッチンペーパーなどでしっかり拭き取ると良いです。
お弁当箱を熱湯消毒&しっかり除菌
お弁当箱は台所用洗剤でしっかり洗って乾かしていれば、ほとんど除菌できています。ただし、黒いものが見えたり、においが気になるときは、お弁当箱を洗ったあとに熱湯消毒をしましょう。
熱湯消毒できない耐熱温度の低い容器は、食器にも使える除菌スプレーなどを利用すると良いです。
シリコンカップなども溝に汚れが残りやすいので、除菌しましょう。
漂白剤を使った除菌は、汚れが気になってきたときやシーズンに1回などで良いでしょう。
お弁当を作るとき−加熱する
素手でふれない
手には、細菌やウィルスがたくさん付いています。調理前に手洗いをしても、何かに触ったりしたときについてしまうものです。
おにぎりを握るときはラップをつかうと細菌やウィルスが付きにくく、そのまま包めるので便利です。
おにぎりに巻く海苔(のり)は別で持っていき、食べる直前に巻きましょう。
海苔には栄養がたっぷりあり、ご飯の水分を吸うことで菌が繁殖しやすくなります。
完全に火を通す
生野菜や練り製品をそのまま入れることはやめましょう。基本はどんな食材も必ず火を通してから。 目安は「75℃以上で1分以上加熱」です。
電子レンジを使うときは途中でかき混ぜたりして加熱ムラを防ぐのが大事。
前日に冷蔵庫保存したおかずは温め直して冷ましてから
冷蔵庫にしまっておいた冷えたままのおかずをそのままお弁当に入れるのはやめましょう。おかずが冷えていると、その周りに水蒸気があつまって水滴になり、菌が繁殖しやすくなります。
冷凍食品のお弁当のおかずで、そのままポンッといれられるものが販売されていますが、それは解凍した時に水分が出にくく、腐りにくいように工夫されています。
家庭で調理冷凍したおかずでは、解凍したときに水分が出て、細菌が増える原因になりますので、使わないようにしましょう。
お弁当に詰め合わせるときー水分を切る
余分な水分をカットする
お弁当に水分は大敵です。水分がある細菌が増えやすくなるからです。全てのおかずは、汁気をしっかり切るのが大事なポイントです。
煮汁が出やすい煮物などは、味付けを濃いめにして、汁気をカットしてお弁当に入れます。
おすすめのおかずはきんぴらごぼうです。
おかずは種類別にしっかり仕切る
違う種類のおかず(食材)が接すると水分や栄養分が合わさって、細菌が増えやすくなります。おかずは一種類ずつしきりカップ(アルミ、紙、シリコンなど)でしっかり仕切りをします。
生野菜と塩分の高いおかずをくっつけない
塩分の高いおかず(焼き鮭、生姜焼き、肉団子、ハンバーグなど)をレタスやベビーリーフなどの生野菜と一緒にすると、浸透圧の違いで生野菜から水分が出てきます。菌は水分が大好きなので、これが菌が増える原因になります。
大葉のような抗菌作用のある葉なら、菌の増殖を防げます。
ごはん・おかずは平皿で冷ましてから詰める
ごはん・おかずを暖かいまま入れてフタをすると、湯気が水滴になり、細菌が増える原因になります。 ごはん・おかずは、平皿で冷ますと、早く冷めて時短にもなります。
梅干しの殺菌作用はその周辺にしか届きません。なので、日の丸弁当のようにごはんの真ん中に梅干しを置くのではなく、細かくほぐして、ご飯全体にまぶすようにすると効果的です。
お弁当を食べるまでーできるだけ冷やす
保冷材やクーラーボックスを使う
食べるまでのポイントは 「涼しいところにおく」こと。細菌が増えないようになるべく涼しいところに保管して、早めに食べましょう。
とはいえ、涼しいところに置けない場合もありますよね。東京では平均気温がおよそ25℃以上になる5月〜9月などの暑い時期や、長時間持ち歩くときは保冷材を使うとよいです。凍らせたペットボトルのお茶等を保冷材がわりにするのも荷物が減って。
また、最近では4月でも暑い日があり25℃を超える日も出てきましたので、4月でも気温が高いと予想される日は保冷材を使うのがよいでしょう。
車の中や日の当たるところには置かないのが原則ですが、このような場所に置くときはクーラーボックスを利用しましょう。
食中毒菌はどれくらいの時間で増えるの?
くらし科学研究所によると、最初にいた菌の数にもよりますが、おにぎりについた黄色ブドウ球菌の培養試験では25℃で16時間後、35℃では13時間後に食中毒の原因毒素エンテロトキシンが検出されています。
安全を考えると、できるだけ涼しいところにおいて、10時間以内にはお弁当を食べ終わった方が良いといえます。
具体的には、朝の6時に作ったお弁当は夕方の4時までには食べた方が良いでしょう。もちろん、できるだけ早い方が良いです。
初夏になると、部屋の温度も上がってきます。戸締まりをして外出したときは、家に帰ってくるととても暑いことがありますよね。
エアコンをつけてないと、部屋の温度が30℃を超えることもあります。30℃は菌が増えやすい温度です。前述のデータから考えると、「朝→昼」や「昼→夜」の6時間くらいなら大丈夫ですが、長時間は危険です。
テーブルや台所におかずやカレーなどをおいておくと、細菌が増えて食中毒の原因になるので、ラップをするか別の容器にうつして冷蔵庫に入れましょう。
お弁当で注意したいおかず(NGおかず)
- ハンバーグ、から揚げ、卵焼きなどの生焼け
- 煮物
- かまぼこ等の練り製品
- ハム・ソーセージ等の加工食品
- ポテトサラダ
- 生野菜
お弁当に入れたい殺菌効果のある食材
梅干し
お酢
ショウガ
カレー粉
大葉
お弁当に入れてOKの傷みにくいおかず
夏のお弁当の食中毒対策として、入れてもOKの傷みにくい(腐りにくい)おかずをご紹介しますね。
揚げ物
揚げ物は、160℃以上で食材を中まで加熱するため、菌が死にます。
お惣菜のお弁当で揚げ物は多いのは、こういう意味もあるんですね。
きんぴらごぼう
味付け濃いめで、汁気のないきんぴらごぼうは、菌が繁殖しにくいので、傷みにくいおかずです。
食中毒を防ぐお弁当グッズ
- お弁当用の抗菌シート
- ランチジャー
- 冷凍できるシリコンカップ
- 保冷剤一体型のお弁当箱
- 保冷バッグ
えっ!?安全だと思っている〇〇が実は食中毒の原因にも
ペットボトルのジュースや、子供が喜ぶかわいいキャラ弁、食器の水へのつけおき、夏場のカレーのコンロでの保存など、食中毒と関係がないと思っていませんか?
実はこれらには、食中毒の危険が隠れています。
詳しくご紹介しますね。
口を付けたペットボトルのジュース
水やお茶ではほとんど増えないので、大丈夫です。お茶ではむしろ殺菌作用のあるカテキンがあるため、菌の数は減るくらいです。
解決法:砂糖入りのペットボトルジュースは口をつけず、コップに入れて飲みましょう。
かわいいキャラ弁
子供が喜ぶキャラ弁。キャラをつくるのに素手で食材にたくさん触るため、手に付いている細菌が食材に移って、食中毒のリスクが高まります
食器の水へのつけおき
ご飯を食べ終わった後の食器の片付けが面倒なときがありますよね。
「明日でいいか。。」と水につけおきしておくと、水の中で細菌がどんどん増えていきます。つけおき10時間で水の菌数が40万倍くらい(=食中毒を起こすレベル)に増えます。(その水を飲むことはないですが、食材に付く危険は高まりますよね。)
ただ、洗剤を加えて混ぜておけば細菌は増えにくいので、つけおきする場合は洗剤を入れておきましょう。
*洗剤を加えても菌がゼロになることはありませんので、できるだけ早く洗いましょう。
*水だけのつけおきは1時間程度が安全の目安。
夏のカレーをコンロに室温で放置
夏は台所でも暑くなります。カレーは一晩寝かせたほうが美味しいですが、食中毒という意味では危険です。熱帯夜なら気温25℃以上ですから、菌はかなり活発です。
「食べる前に加熱しているから大丈夫でしょ?」と思ったかもしれません。確かに、ほとんどの菌は75℃以上で1分以上加熱すれば死にますが、食中毒の症状にも書いたウェルシュ菌は芽胞という加熱しても死なない形に変化してしまいます。カレーやシチューでウェルシュ菌の食中毒が多いのはこのためとも言えます。
ウェルシュ菌は土の中でじゃがいもなどに付いて、調理時にカレーに入ることがあります。
解決法:ウェルシュ菌は空気(酸素)に弱いので、カレーやシチューを加熱するときに、おたまでよくかき混ぜて空気に触れさせることで、やっつけることができます。
保存するときは調理後、底の容器に小分けしてできるだけ早く冷まし、冷蔵庫で保存。細菌は10℃以下になると、ほとんど活動しないためです。
鶏肉を切った包丁で生野菜を切る
鶏肉の表面にカンピロバクターという菌がついていることがあります。カンピロバクターは、生の鶏肉や生焼けの鶏レバーによくいます。
カンピロバクターは熱に弱いので、加熱すれば菌は死にますが、バーベキュー(BBQ)をするときに鶏肉を切った包丁で生野菜を切ったりすると、菌が生野菜に付いて口に入りやすくなります。
解決法:鶏肉を切ったら、包丁を熱湯消毒する。または、肉と野菜は別の包丁で切る。
食中毒の症状
よくある症状は、吐き気や嘔吐、下痢、激しい腹痛などです。
直中毒の原因となる菌やウィルスによって、症状や対策が違います。特に原因として多く有名な、ノロウィルス、カンピロバクター、サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌、ウェルシュ菌、腸炎ビブリオについてご紹介します。
ノロウィルス
注意する食品:牡蠣などの二枚貝
特徴:人の腸内で増殖感染力が強く、2次感染しやすい
潜伏期間:1~2日間
症状:頭痛、発熱、下痢、嘔吐など
対策:85℃以上で90秒以上加熱
カンピロバクター
注意する食品:肉(特に鶏肉)
特徴:家畜やペット、野鳥など、多くの動物が保菌
潜伏期間:2~5日間
特徴:血便を含む下痢、発熱、嘔吐など
対策:75℃以上で1分以上の加熱
サルモネラ菌
注意する食品:生卵、肉(特に鶏肉)、畜産食品など
特徴:人や動物の腸管、川や下水などに存在
潜伏期間:6~48時間
特徴:嘔吐、発熱、下痢、脱水など
対策:75℃以上で1分以上の加熱
黄色ブドウ球菌
注意する食品:おにぎり、サンドイッチ、ちらしずしや盛り付けされたお料理など
特徴:人や動物の皮膚や粘膜などに存在
潜伏期間:1~6時間
症状:嘔吐、下痢、疲労感など
対策:傷のある手で食品に触れない
ウェルシュ菌
注意する食品:カレーやシチューなど
特徴:人や動物の腸管に存在。酸素のない所で増殖する
潜伏期間:6~20時間
症状:腹痛、下痢など
対策:常温放置しない。再加熱は75℃で1分以上、よくかき混ぜて空気に触れさせる
腸炎ビブリオ
注意する食品:お刺身やお寿司、魚介類や野菜の一夜漬けなどに
特徴:海(河口部、沿岸部など)に生息。室温でも速やかに増殖。3%前後の食塩を含む食品チュでよく増殖。真水や酸に弱い。
潜伏期間:8-24時間
症状:腹痛、水様下痢、発熱、嘔吐
対策:魚介類は新鮮なものでも真水でよく洗う。短時間でも冷蔵庫に保存。60℃10分の加熱。
保温弁当は食中毒になりやすい?
保温弁当箱は、70℃(低温殺菌の温度)以下に下げないように保存できれば、食中毒になりにくいです。炊きたてご飯や作り立てのスープ等は、この温度になります。
一方、食中毒の原因菌が繁殖しやすい温度(25℃~40℃)などでは、食中毒になりやすいです。
まとめ
いかがでしたか?
暑くなる夏のお弁当は食中毒のリスクが高まりますが、しっかり対策をすれば、家族に自分にやさいおいしいお弁当を食べてもらえますよね。
ご紹介した食中毒対策は
- おかずに火を通す
- 水分を切る
- 殺菌効果のある食材を使う
- 傷みやすい食材は入れない
- お弁当は冷やしておく
でした。
食中毒予防の3原則は、「細菌をつけない」、「ふやさない」、「やっつける」です。
ぜひ、お弁当づくりに活かしていただければ、幸いです。